2015
03.14

マイホーム売却損の損益通算!

日刊 Well Life通信


昔から「サラリーマンのマイホーム売却損」は繰越控除ができませんでした。

昭和バブル期のマイホームを購入し、その後売却して売却損4000万円出してしまった場合、所得1000万円なら売却損の内1000万円はその年の所得と損益通算(現在は原則不可)し、残った3000万円は切り捨てになりました。ただ、当時は不動産は値上りすると信じられた時代だったので、売却損はあまり問題になりませんでした。

しかし1990年代、昭和バブル崩壊で、マイホームの値下がりとローンの重圧に苦しむサラリーマンが急増し、それを苦にして、自殺も目立つようになりました。

そこで1998年税制改正で、マイホーム売却損について3年間繰り越しを認めました。残った売却損3000万円は翌年以降3年間に繰り越せます。税金は売却年を含め4年間タダにし、借金整理を税制面から支援し、苦しいサラリーマンの国民を救うための素晴らしい特例に、一瞬思いました。

しかし、条件が付されていました。

「住宅ローンで新マイホームを買うこと」。

苦しい国民個人を自殺から救う人道支援救済でなく、値下がりとローンで苦悩する国民に更に借金させ物件を買わせ、デベロッパー救済と景気回復を図る火事場泥棒税制(人でなし税制)改正でした。この特例は改正を経て現在に続いています。折角なのでうまく使いましょう。

1月1日での所有期間5年超、床面積50㎡以上の新マイホームを10年以上の住宅ローンで譲渡年の前年当年翌年に取得、所得制限、親族間取引制限等があります。

8000万円で買ったマンションが4000万円に値下がりしています。さて同じ間取りのお隣住戸が4000万円で売りにでました。お隣住戸を4000万円で買いましょう。自己資金に余裕でも100万円だけは住宅ローンにします。引越後に従来マンションを4000万円で売却し、4000万円の売却損(償却等無視)を確定させます。

外見上はお隣に移っただけ。しかし税務上は自宅売却で4000万円の売却損が生じ住宅ローンで新マイホームを買ったのです。つまり特例の対象となり所得1000万円なら4年間は所得税住民税ゼロ、4年間の税メリットは1000万円近くにはなります。

住宅ローン残高で損益通算

さてサラリーマン国民の命まで差し出すこの火事場泥棒税制、さすがにお役人も人として恥じたのか、その後に多少はまともな税制を付け加えました。新マイホーム購入なしでもOKの特例です。給料が下がり、ローンが払えずに任意売却して売却代金を銀行に返済し、賃貸に住まいを移した場合などです。

売却損のうち最大で「住宅ローン残額-売却額」つまり「全額返済に回して残るローン額」の損益通算繰越控除を認めます。

譲渡契約前日に売却マイホームについての住宅ローンの残高があることが条件です。所有期間5年超等の様々な要件もありますが、売却後の残債の処理への制約や条件はありません。

売却損が4000万円、住宅ローン残高から売却額を引いた金額が3000万円なら、いずれか少ない方で3000万円が損益通算繰越控除の対象となります。売却損4000万円で、ローン残高から売却額を引いた金額が5000万円なら対象は4000万円です。

苦労して繰上返済を続けたり、退職金等で一括返済しローン残高をなくした人は使えません。近々の売却を検討中なら繰上返済は控えるのも選択肢です。給与所得等への税率が30%とすれば残債100万円について30万円の税メリットです。その100万円を繰上返済した後の売却ならこの税メリットは消えます。

「譲渡契約締結日の前日」における住宅ローン残高が対象ですので、契約締結日あるいはそれ以降にその100万円は返済に充当すればいいのです。

もし数年後に定年退職するのなら、所得のあるこの数年間がラストチャンスです。退職金の退職所得(特例に所得制限あり)とも通算できます。所得がなくなれば税メリットは活きません。